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道化師恐怖症。

第25章 羽と言葉を紡いで閉じて




「赤也、くん...」

「はい?」

「ちょっと苦しい...」

「あ、すんません!!」


温かくて逞しい身体が
パッと離れる

私たちはお互いを見つめ合い
少しだけ、笑った

赤也くんが言葉を続ける


「大体、最初に西崎を潰そうって
言ったのは俺ですよ?」

「...赤也くんが言わなくても
私はやってた」

「え...」


だって彼女を見た時から
私の中でそう決まっていた

だから赤也くんの発言は
なんにも関係ない


「きっと私だけでは
ここまで出来なかったけれど」

「じゃあ俺、蒼先輩の
役に立ったんッスね!!やった!」


え、そこでやった!なんだ
ほんと...どこまで純粋なの君は

普通こんなこと言われたら
多少なりとも幻滅しないのかな

私にしてみたらありがたいか


「明日、どうなってるんスかね」

「ん...どうだろ。
まさか幸村くんたちがあそこまで
簡単に手のひら返すと
思ってなかったからな」

「きっと皆パニックになりますね」

「あんなに愛されてたお姫様が
騎士様に相手にされないんだから
そりゃあ面白い事になるよ」


今までだったら
決して言わなかったような言葉を
彼はそのまま受け入れてくれてる

彼は確かに、と言って
楽しそうに目を細めた


「あ、そういえば」

「?」

「前に言っていた事。
私は赤也くんを助けたの?」


彼が私に近づいてきた理由は
昔、私に助けられて
その恩を返したい 守りたい
そんな感じだった気がする

果たして過去の私は
赤也くんに一体何をしたのか

良い意味でも悪い意味でも
純粋な赤也くんに
どう恩を売ったというのだろうか


「それは...話すと
ちょっと長くなりますよ」

「そうなの?
じゃあ今度ゆっくり聞こうかな」

「はい!ゆっくり話します!
それより忘れてたけど!!
蒼先輩!保健室!!」

「わわ、忘れてた」


頬も腫れてるし身体もあちこち痛いし
手当してもらった方がいいや


「ほら、行きますよ!」

「うん」


今回の事があってから
何度、保健室に言っただろう

保健室の先生にも
お礼を言うべきかな






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