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道化師恐怖症。

第25章 羽と言葉を紡いで閉じて




来た道を戻って
あのくせっ毛の彼を探す

みぃちゃんの言葉で
なにが一番汚かったのか気付けた


中途半端


私は最初からこんなだったね
そういえばそうだったよ

純粋な彼に触れて、憧れて
どこかでそうなりたいと思ってた


不可能を可能だと
思い込もうとしていた


もう吹っ切れたよ

私は綺麗じゃないけれど
それで汚れていくほど、彼もまた
弱くなんてないのだ


だったら、素直になってしまえ


「あ、蒼先輩...?」

「!!
赤也くん...!」


彼は私を見つけて
嬉しそうな、哀しそうな
あまりにも切なすぎる顔をする

そんな顔をさせたのは
紛れもなく私

いい加減、逃げるなよ


「どうしたんすか?
もしかして部室に何か」

「いや、赤也くんだよ」

「俺...?」


全部伝えて、嫌われたら
それでおしまい

それが私の罰だ

全て受け入れてしまおう


きっと胸が張り裂けるくらい
悲しんでしまうけど
全部飲み込めば大丈夫

大丈夫、もう笑える


「中途半端はもう止めた。
こんなの私らしくない」

「蒼先輩、?」

「私ね、赤也くんの事が好きだよ」


自分で言って頬が熱くなる

どうやら彼は
それ以上に照れてるらしい
めちゃくちゃ赤面してる かわいい


「え、あ、え!?」

「こんな気持ちに
今までなった事が無いけど
それでも自信を持って言える。
私、赤也くんが好き」


けどね、


そう言いたかったのに
私の言葉は途切れた


今までに何回かあった
あの暖かさにまた包まれる

ぎゅうと擬音でも聞こえそう

ドクドクと心臓の音が...響く


「っっ!!!!」

「これって、両思いってやつ...?」

「そ、うかな」

「俺今めっちゃ幸せッスよ...」


暖かくて、綺麗で
このまま浄化されたら...

いや、そんなの私じゃないか


「でも私は」

「蒼先輩が自分の事を
どう言うと否定はしないです。
けど俺はそんな蒼先輩が
好きなんで!
そのまま変わらないで下さいね」

「そのまま...」

「そのまま!ッスよ!」


きっと私は更に
彼を好きになっていくだろう

もう、眩しくて苦しくて

それでも笑ってるんだ







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