第24章 マリオネットは踊り狂う
「如月はここまで愛しいと
思った人がいないからじゃないか」
「違うよ。そんな事じゃない。
愛しい人がいるからどうとか
いないからどうとか関係ないね」
とことん呆れた
ほんとに、馬鹿じゃないか
こんな根本的な事も分からないなんて
「君の気持ちなんて知らないよ。
だって聞いたことないんだもん。
...それで、どうやって知れって?
自分の罪を認めず喚くなんて...。
ほんと、子どもみたい」
「な、んだと?」
「大体、そんなに愛しいなら
最後まで味方してあげたらいいのに」
そんなことできるなんて
思ってないけどね
変なプライドばかり強いから
そんなこと出来るわけがない
「蒼先輩。
顔、腫れてるッスよ。
保健室行きましょう」
「え?あ、うん。そうする」
これ以上、彼等と話しても
得るものなんて何もない
あと、身体も痛いし
ここまで傷があって
ペラペラ話せる私は強いと思う
「ま、」
「別に先生にチクる気無いよ」
「え...?」
「大会出られないと困るよね。
赤也くん」
「あ、はい...」
「だから私は何も言わない。
赤也くん困るのは嫌だから」
行こ?
彼の手を引っ張り部室を出る
残された彼らは果たして
どんな行動をとるんだろうか
それはまた明日のお楽しみ
「蒼先輩」
足を止める赤也くん
下を俯いて軽く震えてる
「なに?」
「無理しすぎなんスよ!!
なにしてんすか、ほんと...」
「ごめんね。でも」
「俺は!!蒼先輩が、
傷ついてるとこ...
一番見たくないのに」
「...ごめん」
「んな、傷いっぱいで、っ
顔も、グスッ」
「赤也くん...」
耐えきれなかったのか
綺麗な瞳からポロポロと雫を零す
こんなに純粋な彼を
こんなにも深く悲しませた事に
私が罪悪感
頬の傷より、身体の傷より
ずっとズキズキする
「ごめんね。ごめん」
「ほんと、馬鹿ですよ...」
「うん。私は馬鹿なんだ」
こんな痛みでしか
自分の気持ちに気づけない私は
ただの馬鹿野郎
あぁいつからだったんだろう
最初からかな
君に出会った時から
微かな痛みがあった筈なのに
目を背けてた