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道化師恐怖症。

第24章 マリオネットは踊り狂う




あぁ、楽しい
気分が乗ってきた

本当に悲劇のヒロインでも
なったような気分だよ

まぁ悲劇でもなんでもなく
どっちかというと喜劇かな?


「ねぇ西崎さん」

「な、なによ」

「金坂さんが居場所を無くしていくの
見ていて楽しかった?

私がボロボロになるのは
きっと愉快だっただろうね?

...彼等に嘘をつくのは
どんな気分だったのかな?」

「っ、うるさい!うるさい!!
うるさいっっ!!!」

「...ねぇ、幸村くん」

「は、」


髪を掻き毟りながら
半狂乱になる西崎さんから
目をそらす

もうこうなっちゃったら
西崎さん程度では隠すことなんて
できるはずも無い


「丸井くん、仁王くん、
柳くん、柳生くん」

「だから、なんだよ!?」

「西崎さんが大変そうだよ?
...助けてあげないの?」


ダメ押しの台詞は
かなり効き目があったようだ

みんな、完全に固まってしまった


「あ、そっか。
西崎さんに騙されたこと
気づいたから助ける気ないんだ。

そんな簡単に見捨てられるほど
西崎さんの存在なんて
軽いものだったんだね」

「意味なかったんスね。結局。
先輩たちは呆れるほど
脆すぎたんですから」


私は、ここまで自己中に
物事を進めようとする西崎さんは
どうしようもなく嫌いだ

それと同時に
こんな風に手を離す彼等も嫌い

そりゃ手を離されるような事をする
彼女が一番悪いんだろうけどさ

けどね、そんな
単純じゃないだろうよ
人間関係ってやつは


「可哀想な西崎さん」

「っ!!!
誰が、誰が、可哀想なのよ!!
エリナはお姫様なの!!!
幸せなの!!幸せなのよ!!

だって愛されてるから!!!!

周りから憧れの目を向けられる
王子様たちに愛されて!!
幸せに決まってるじゃない!!

アンタみたいな報われない灰被りと
一緒にするんじゃないわよ!!!」

「結局、偽物の愛じゃないか。
身体を重ねる事が愛?
愛してるよって囁かれるのが愛?

五感しか満たされない愛は
偽物でも成り立つらしいね」


勉強になったよ
ありがとう西崎さん

これはきっと最後の
君に贈る言葉だろう






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