第24章 マリオネットは踊り狂う
「〝アレ〟ってなんスか?」
不思議そうにする赤也くん
そういえばあの時
彼はこの場にいなかった
そりゃ知らないし
聞いてもないか
「もうすぐ分かるよ」
私が携帯を持っている手を
軽く振る
すると彼の表情は
少しだけ変化を見せた
「…?蒼先輩って
右利きですよね?」
「そうだね」
「じゃあ今なんで
左手で携帯弄って…っ!?」
赤也くんの視線は
私の左手から右手にゆっくりと移る
気づかなかった
しかし彼は知ってしまった
普通だった有り得ない
色をしている私の右手に
ダラリと垂れてるこの手に
力なんて残ってない
感覚すら…あるかどうか微妙
『っ、あぁぁぁあ゙!!!』
タイミング良く聞こえたのは
生々しい断末魔
嫌でも鼓膜を刺激し
耳の中に残るような声
幸村くんたちはどんな気分で
これを聞いているのだろうか
「アンタ、ら…」
なぜ、そこまで
何がアンタたちを
そんな風に変えてしまったんだ
赤也くんに無駄な絶望を
与えている事に胸が少し痛む
だけど仕方ない
こうなることは分かってた
「この辺でいいかな。
ほら、君たちが望んでた証拠」
重苦しい空気が気持ち悪い
違う、違う、と呟く西崎さん
ただ目の前の現実を受け入れられない
レギュラーたち
自分たちで証拠出せとか
言ってたくせにさぁ
ま、非があるなんて思いも
しなかったわけだから
あんな偉そうだったんだろうね
「し、かし
それは如月が勝手に作った…」
「可能性があるって?
今まで起きた事も音となって
はいっていたのに?
私は予知能力なんて持ってないね」
はい、論破
いい加減認めたらいいのに
自分たちは間違っていたんだって
「エリナ!!
お前、俺たちを騙したんだな!!!
ずっと嘘ついてたんだな!!!」
「ひっ!」
「ふざけん、」
「ふざけるな、はアンタだろ…!?」
怒りの矛先は
当然だけど西崎さんに
怒りを顕にしながら
拳を振り上げ彼女に
殴りかかろうとする丸井くん
の、腕を赤也くんは掴んだ
充血してないけど
その目は怒りが満ちている
私も分かるよその気持ち
赤也くんが
代弁してくれるみたいだね