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道化師恐怖症。

第24章 マリオネットは踊り狂う







ガチャ

ジャアアァァ…


ドアが開く音、
水が蛇口から流れ出る音


そして


『あ、なーんだ。
逃げなかったんだぁ 』


西崎さんの声


「や、やだ!!やだやだ!!
やめなさいよ!!!!」

「…証拠の提示を強要したって事は
自信があるんでしょ?
自分に非が無いってことに。
黙って聞いてなよ」

「っ〜!!!!」


悪いのは最初から最後まで
全部、貴女なんだから

自業自得ってやつだよ


『みーんな大会近くてピリピリしてるからストレス溜まってるんだよねぇ』

「いや…」

『特に精市とか!ブン太とか!雅治も!』

「やめて…」

『やっぱり身体だけじゃ癒して
あげられないみたいでさぁ』

「やめなさいよ…」

『いっつも激しくって
エリナが疲れちゃう』

「いやぁぁああ!!!!」


その言葉を聞いた彼等の
目に映るのは

絶望


きっと頭の中では
ありえない、とか
何かの間違いだ、だの
これは夢だ、なんて

戯言がグチャグチャになって
駆け巡ってるに違いない


どうですか?
ただ1人、信じていた人

その人の為にたくさんの物を
犠牲にしましたね

過去のマネージャー
後輩、仲間からの信頼

そして…練習時間までも


西崎さんを愛する事は
それさえ無くしたとしても必要な
かけがえのないものなんだ

なんて甘い夢を見続けて
それが覚めるのを恐れていた


そして、覚めた今


「まだ終わってないよ?」


携帯から聞こえるのは
西崎さんの悲鳴と
それに続くように走る音

そして、


『ふざけてんじゃねぇよ!!』


バキッ


『これだからミーハーは嫌なんじゃ』


ゴッ


聞くに絶えない暴力の音

絶望の後に
取り返しのつかない事をしたという
とてつもない罪悪感は
容赦なく彼等を襲っている筈

こんなふうに録音したのを聞けば
第3者の位置で聞けるから

酷さが増して聞こえるだろう


「も、もういいじゃろ」

「なに?仁王くん。
聞くのが辛くなっちゃった?

でもダメだよ。
〝アレ〟聞いて欲しいから」


怪我だらけの私が
ニィと笑うのはあまり
不気味な事だろうな

彼等の顔が引き攣る


赤也くんは…至って普通

あぁ君もこちら側なんだね






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