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道化師恐怖症。

第23章 あぁ酸素が足りないよ




「あぁ、え、っと
違う、違うのよ…」

「何が違うのかハッキリ言わないと
皆、分かんないスよ?」

「えっと、あ、っと…」


違う、違う、と呟くが
肝心の中身が出てこない

これじゃあ誰も信じられない

人間、納得できる答えがない限り
信用なんて無理な話だ


「…そうだ、そうよ。
物的証拠出しなさいよ!!
そこまで言うならあるんでしょ!?」

「は?」

「そうだな、物的証拠が無ければ
犯人を逮捕だって出来ない」

「ほら、早く出せよ赤也!!」

「どうせそんなもんないじゃろ?」

「…それ、は」

「ここまで言ったんです。
まさか無いとは言わないでしょう」


ぐっ、と詰まる赤也くん

当たり前だ
彼にそんなものあるわけがない


「ほら、出しなよ赤也。
無いなら…そうだね。エリナを
嘘つき呼ばわりしたし
土下座でもしてもらおうかな」

「だから証拠なら言っただろ!!」

「物的証拠出せって言ってるのよ!」


ほとんど素が出た西崎さんにも
気づかないなんてほんとに間抜け

これ以上黙ってたら
赤也くんに被害が及ぶし

もうそろそろ出そうかな、アレ


「ほら、赤也…!!」

「あるよ。証拠なら」

「は…」


赤也くんに伸びた手がピタリと
止まり幸村くんが私の方を向く

その目は完全におかしくて
それだけでぞわっとしてしまった


「は?なんなの?
お前に聞いてないんだけど」

「けどあるの。証拠」

「嘘言ってんじゃねぇよ!」

「本当だよ。
君たちのお姫様と一緒にしないで」


いつまでも大人しくしてても
流石に馬鹿らしいので
こっちも素を徐々に出していく

さっきまで弱々しかった
私がこんな発言をしたもんだから
皆驚いてるみたい


「だったら出してみろ」

「ほら。
よくある手だけど」


ポケットから取り出した携帯

電源ボタンを押すと
真ん中辺りに赤い字

それを見た瞬間西崎さんの顔は
一気に青ざめた


「録音、中…?」

「そうだよ。録ってたんだ」


指紋認証でロックを解除して
ボイスメモを開く

赤いボタンを押して録音を止めた


「聞かせてあげるよ。物的証拠」







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