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道化師恐怖症。

第23章 あぁ酸素が足りないよ




「ふ、ざけ…」

「赤也くん!!」


欠片しかない力を
振り絞って声に使う


この場で彼が落ち着く要素なんて
私しかない

だったら彼を悪魔にさせないには
私が声を出すしか
方法はないじゃないか


あぁ腹部が痛いよ


「っっ!!」

「ダメ、だよ…?」


君が暴力を使ったら
彼等と同じになるじゃん

それだけはダメ

赤也くんが傷つくから


…ってそんな理由な訳ない
ただ後で
お前もやったんだろ、と
責められたら不利になる

こちら側の非は最小限に
これ、鉄則


「てめぇ急に叫んでんじゃ…」

「先輩たちが!!!
蒼先輩を痛ぶるのは
西崎、先輩に何かしたからッスよね?」


彼の目

もう大丈夫、正常だ

私の気持ちを
汲み取ってくれたみたい


「そうだよ。だったら?」

「その証拠は、あるんですか」

「エリナが泣いてる。
それだけで充分だよ」

「蒼先輩も泣いてます」

「こんな女信じる価値ないね」

「今までの事は無理だけど!
西崎先輩がついた嘘
俺、1つだけなら証明できますよ」


先輩達と違って

そう言ってにこやかに微笑む彼


その言葉にピクッと反応する西崎さん

証明になるんだよ
そんな細かな所もさ


「へぇ。言ってみろよ?」

「西崎先輩が洗いものしてたら
蒼先輩が遅刻してきて
注意したら突き飛ばされた、と。
西崎先輩、そう言いましたよね」


コクっと頷く西崎さん

彼女はもう認めてしまった

馬鹿だなぁ
そこで嘘だよって言えばまだ
良かった…かも、しれないのに


「じゃあなんで遅刻してきたハズの
蒼先輩の手が濡れてて
泡がついたりしてるんスか?」

「は…?」


皆、感情が高ぶってて
気づかなかったんだよね

私の手のひらに
まだ残ってる水滴と泡

勿論西崎さんの手はカラカラ


「これは…」

「それに西崎先輩の手は
乾ききってますよね。
洗いものしてた人の手が乾いてて
遅刻してきた人の手が濡れてるのは
なんでだと思いますか?」

「…っ、」

「西崎先輩が
嘘をついたんですよ」


やはり、言葉と証拠は強い

こんなにも簡単に人を追い詰めれる





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