第23章 あぁ酸素が足りないよ
バンッッと乱暴に扉は開かれ
彼等はずかずかと入ってきた
何だ!?どうした!とか
白々しいにも程がある
もう練習してる時間の筈なのに
なんで10秒の間もなく
入ってこれるんですか君たち
あれ?瞬間移動的な?
人間のスペック超えた的な?
「エリナ?どうした?」
「エリナが洗い物してて…
そしたら、蒼が来て
遅いよって注意したら煩いって…」
「突き飛ばされたのか?」
コクリと頷く西崎さん
なるほど
立場を逆転させましたか
まぁ私は注意なんざしてないけど
「てめぇ、さっきの事もあんのに
ふざけてんじゃねぇよ!!」
「っ、!!」
眉間に深い皺を寄せ
怒鳴る丸井くんに有無も言わされず
腹部を殴られる
昼に食べたものが逆流して
来そうになるが、グッと堪えた
良かった
お昼少なめにしといて
「これだからミーハーは嫌なんじゃ」
膝をついた私に
仁王くんは容赦なく蹴りをいれてくる
それに続くように
幸村くんも
背中、肩、太もも、膝、腕、鳩尾
痛みが広がってく
「如月…お前は他の奴と違うと
信じていた俺が馬鹿だった」
「本当に失望しましたよ」
とうとう、柳くんと柳生くんでさえ
冷たい言葉と共に手を出してきた
信じてた?失望?
そんな信頼関係
築いた記憶などないのだけども
「ほんとさぁ…エリナを
傷つけて俺達の邪魔をして
お前は一体何がしたいの?
何のためにテニス部に来たの?」
「がっ、ぁ、…!!」
せめてもの意思表示
首を必死に横に振るけど
そんなの通じるわけが無い
痛い、痛い
ただの一般的な女子にとって
激しすぎる痛みは
治まる前にまた加えられて
ズキズキ、ジンジン
このまま死んでしまいそう
「仕事もしない
エリナを傷つけるだけの
その手はもういらないよね」
「…え、?」
「抑えてて」
腕を必要以上の力で抑えられ
指や爪が肉にくい込む
まさか、そこまでする…?
「や、いや、」
「俺って優しいからさ。
切ったりしないよ?」
幸村くんはニッコリと微笑みながら
足を高く振り上げた
そんなの何されるか
嫌でも分かる
「い、やだ、…」
必死に反抗するけど
そんなの敵うわけがなかった