第23章 あぁ酸素が足りないよ
ドアノブに手をかける前に
小さく深呼吸
フゥ…
今日はよくある手を使う
皆やってる様な事
そう、録音です
こんな物で追い詰められる程
彼等は単純じゃないだろうけど
まぁ物は試し
携帯を取り出し
ボイスメモを開いて赤いボタンをポチッ
ピッと音がして
点線が真っ直ぐ進み出すのを
確認してから、ポケットにしまい
中に足を踏み入れた
「(…なんだ)」
気を張って入ってきたのに
まだ誰も居ないなんて
確かにいつも西崎さんは
来るのが遅いけれど
もうとっくに居ると思ってたよ
とりあえず来るまで仕事仕事
流し台まで行って
溜まっているボトルに手をかける
うわ、中ちょっと残ってる
せっかく西崎さんが作った設定
なんだから飲みきれっての…
「あ、なーんだ。
逃げなかったんだぁ」
何度聞いても気持ち悪い声
普通の女の子の筈なのに
その声はそんな風に聞こえない
足がいーっぱい生えた虫
みたいな声だね 気持ち悪っ
「あ、西崎…さん。
逃げるって、?」
「ビビッてんの見え見え!ウケるー!」
そー見せてるだけに決まってんだろ
それが分かんない貴女ウケるー
「みーんな大会近くてピリピリしてるからストレス溜まってるだよねぇ。
特に精市とか!ブン太とか!雅治も!
やっぱり身体だけじゃ癒して
あげられないみたいでさぁ」
…?
身体だけじゃ癒してあげられない?
それって、まさか
「いっつも激しくて
エリナが疲れちゃう」
3マタですかぁぁぁ!!!
え、すごい その行動力すごい
バレてないのもすごい
どんだけ首ったけなの皆さん
一瞬、3Pならぬ4Pかと思ったけど
あんな独占欲の塊たちが
それを許すわけがない
そりゃあ女としての自信も
持ちますよね 納得しました、はい
「だ、か、ら。
如月さんにバトンターッチ」
「…え?」
「ま、精市達だけじゃないし
気持ち良さなんて欠片もないよ?
ただの暴力だから!」
エリナの邪魔するから
悪いんだよぉ?
パチッとウィンクして
彼女はまた奇声をあげた
西崎さんがご奉仕したなら
犯される事はないな
なんて冷静に考えてる私は
一体なんなんだろ