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道化師恐怖症。

第22章 劣等感をパンに塗りたくった




みぃちゃんは2、3回
私の頭を撫でてからパッと離れた


「さ!お昼食べよ!」

「うん!」


そういえばお腹空いた
もうお昼だったんだ

机をくっつけて
お母さん特製のお弁当を広げる

あ、ハンバーグ入ってるじゃん
やったー


「…西崎達、戻ってこないね」

「あ、ほんとだ…」


もう授業終わったのに

鞄があるからご飯だって
食べられないんじゃ…


「大方、お仲間さんと
屋上だろうけど」


そう冷たく言い放ったみぃちゃんに
小さな違和感

ん?なんかモヤってか変な感じ…

あ、そうだ
分かった


「みぃちゃんは…いいの?」

「何が?」

「会長さんじゃんか」


みぃちゃんは、テニス部
ファンクラブの会長さん

ごたごたあって忘れてたけど
彼女はその地位にいる

そんなみぃちゃんが
テニス部と敵対する私の味方なんて
一体誰が納得…


「あぁ。やめたわ」

「え!?」

「所詮、その程度だったの。
たった1人の女の子だけで
あそこまで変わった彼らの事を
応援する気になんてなれない。

それに私は蒼の方が
大事だからね」


そんな簡単に
ファンクラブの会長というのは
やめられちゃうのか…

まぁ続けていても
批判ばかり起きて遅かれ早かれ
そういう決断をする事になっただろう


みぃちゃんも完全に
私と同じ立場になってしまった

テニス部の、敵


「蒼、怖い?」

「…んーん。
だってみぃちゃんがいる!」

「私にだって蒼がいる。
だからやめられたの」


これで何かを気にする必要はない

みぃちゃんみたいに強い人
簡単に潰すなんて西崎さん如きじゃ
できる筈もないし


そういえばみぃちゃんは
赤也くんが味方だってこと
知っていたっけ?

言わなきゃ彼も
敵になっちゃうね


「皆、西崎さんの味方だけど
赤也くんだけは違うんだ」

「切原くん?2年生の」

「そうそう。彼は
私に凄く良くしてくれるから…」


だから彼は大丈夫なんだよ

そう言ったらみぃちゃんは
クスクスと笑った


「え、なぁに?」

「なんでもないよ」


なんでもないのに急に
笑い出したりしないでしょみぃちゃん

まぁいいけどさ






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