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道化師恐怖症。

第21章 ディストレーションを感じて




「ねぇ蒼!
ロッカー行こう?」

「え…」



3時間目が終わり
次の時間に使う教科書を
取りに行こうと席を立ったら

彼女が寄ってきた


だいたい誰か分かるでしょ
あの頭の悪いピンク色です


「エリナ〜。
なんでそんな奴と行くんだよぃ」

「俺達と行けばええじゃろ?」

「私は蒼と行きたいのぉ。
ね、いいでしょ?」

「う、うん」


有無を言わさないこの態度

一々見下されるのが
けっこうイラッとくる


んで、私は何も悪くないのに
まるで私が悪いかのように睨んでくる
丸井くんと仁王くんの
視線も気持ち悪い

文句ならこの女に言え

私に無言で訴えるな


「蒼!私も…」

「前城さん、ちょっと来てー!」

「え!?ちょっと…」


二人っきりにさせるわけにはいかないと、みぃちゃんは前に出てきてくれた

が、もう西崎さんの手にかかった
クラスメイト達が
みぃちゃんを引っ張っていく


責任感の強いみぃちゃんのこと

頼られたら断る訳にはいかない


「みぃちゃん、行ってきなよ」

「でも…!!」

「大丈夫だよ。
大丈夫だから」


ね?貴方の困ってる顔は
あんまり見たくないよ

それはみぃちゃんにとっても
そうなんだろうけど

ごめんね、みぃちゃん


いつか笑える日がくるから
そんな泣きそうな顔しないで


「ほらぁ、早くぅ」

「う、ん」


ほんとに大丈夫なんだから


だって

こんな簡単な演技でさえ
彼女は見破れないんだよ?

だから平気だよ


上辺をどれ程傷つけられようが
真が通っていれば
元通りになるんだもん

ま、上辺なんて
ほんと薄っぺらで

傷つけられるもクソもないけど


「…西崎さん?
ロッカーに行くんじゃ…?」

「はぁ?行くわけないでしょ」


無理やり引っ張られて
連れて来られたのは女子トイレ

やめてよ
ここいい思い出ないんだから


「どぉ?クラスの中に
誰一人味方がいない状況は!」

「私には、みぃちゃんがいるよ」

「あんなブスが味方なんて
あんたほーんとに可哀想ね」


クスクス笑われることに
なにも悲しみはないけれど

みぃちゃんを馬鹿にされるのは
腸がひっくり返るくらい腹立つ






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