第21章 ディストレーションを感じて
次の日、いつも通り
学校に行ったら
人の世の世知辛さを知った
「おはよー」
虚しく響く音
普段なら何かしらの
反応があるはず
とうとうレギュラー陣から
教室まで波が広がったようだ
ぎこちない顔で
私から視線を逸らすクラスメイト
たかが2年とちょっとの
信用なんてこんなものか
いや、そんな事は知っていた
だから失望なんて
欠片もないよ
だって学校中のリーダー的
存在であるテニス部レギュラーの
お姫様的存在西崎さん
方や私は
少し哀れなただの一般人
天秤になんて
かけるまでもないわけで
どっちにつけば自分の身の保証を
得られるか、なんて
ほんと算数より簡単
「おはよ!蒼!」
「みぃちゃん!おはよ」
ただ彼女だけは
私の側を離れるなんて
しないから
それ程の信頼が彼女にだけある
もし彼女が何の前触れもなく
私に冷たくあたってきたり
それこそ無視を決め込んだりしたら
私はこれから先
誰も信じるなんてできない
少し…いや、かなり重い
自分でもそう思う
だけど1人くらい
私にとってそんな人がいても
いいじゃないか
「なんか皆おかしいけど
蒼は気にする必要
ないからね?」
「え?大丈夫だよー!」
「誰かに何かされたら
すぐ言うのよ」
「そんなんされないってー」
誰か、なんて言いながら
みぃちゃんはしっかり西崎さんを
睨んでいた
西崎さんも度々
こっちをニヤニヤしながら見てる
そんな彼女の醜い笑みに気付かず
彼女を囲むレギュラー陣
あぁ変なの
おかしい おかしい
どうせこの集団無視も
西崎さんが皆の前で泣いたか
なんかしたぐらいだろう
彼女を信じないと
皆は何をされるかわからない
それこそ私か金坂さんの
二の舞になるのは避けられない
そんなのはゴメンに決まってる
もしかしてこの中には
ほんとはこんな事したくないけど
自分を守るためには仕方ないの
だけど貴方の事を心配しているよ
なーんて考えてる偽善者が
いたりして 笑える
あ、真田くんと桑原くんが
そんな感じの例ですね
私の身の心配なんて
してるとは思えないけーれーど