第3章 act2
「ねぇいつこの島を出るの?」
彼女の問いにローはふっと我に帰る。
「あぁ…そうだな。あと3日くらいはいるつもりだ」
「ふーん。実家とか寄らないの?」
「寄ったさ。あの酒場で毎晩呑んでる」
は目を見開く。
「酒場ってあのダンヒーリー爺ちゃんがやってる所?」
「親父は育ての親だ。両親は死んだ。」
「…そうなんだ、ゴメン」
「気にするな、お前は?昨日だってあんな遅くに一人で居て」
は少し間を置いて、珈琲を一口啜った。
「うん…私も両親は小さい頃死んじゃって、酒場の爺ちゃんには良くしてもらっていたの」
「そうか」
「なんか私達似ているね」
クスクスと笑うにローもつられて笑みを浮かべる。
「そうだなぁ…。なぁちょっと来い。付き合え」
突然椅子から立ち上がりは腕を掴まれる。
「えっ?ちょっとどこ行くの?」
二人分の会計を済ませローは店を出た。
出る際店主のリエがファイト‼ と、小さくガッツポーズをしていたのが疑問でならない。
黙って前を歩くローの背中を見つめていればはあることに気付く。
「ねぇねぇさっきから皆貴方を避けて歩いてるわよ」
ローを知ってか否かそれとも彼の放つオーラにか、道行く人々はさっと彼を避けている。
「歩き易くて助かるな」
「ふふ…。ていうかこの手離してよ。どこも行かないから。私まで連れだと思われちゃう」
「光栄の間違いだろ?」
そう言ってローはの腰に手を回し更に自分の方へ引き寄せる。
「はぁ…やっぱり自意識過剰よね」
「うるせぇ。今夜は付き合え」
「いいけど別に。高いわよ?」
クスッと笑うにローも口の端を上げた。