第8章 act7
朝を迎えた。
雲一つない快晴。
なんて晴れやかなんだろう。
私はもうとっくに決意している。
昨晩まとめた少ない荷物を手にし、は玄関の扉へ手をかける。
一呼吸置いてドアノブを回した。
それから限られた時間で子供の頃からお世話になった酒場の爺ちゃん、カフェのリエ。は次々と世話になった人達に別れの挨拶を済ませる。
「やはりそうかい…ローは連れて行くと思った」
カウンターのいつもの席に腰掛け、暫くは飲めないダンヒーリーの淹れた珈琲をは心行くまで味わっていた。
「、あいつの心はフランを失い一度死んだ」
「…聞いたわ」
「でもお前さんは深海に差し込んだ一筋の光のようじゃ」
「爺ちゃんってやっぱりロマンチストよね」
「あいつが何考えておるのか、よく解らん時が多いかもしれんが、意外と心は繊細で優しい所もある」
「うん」
「お前さんなら、大丈夫」
寂しいが非常に嬉しいぞ!
、いってらっしゃい。
今にも涙が零れ落ちそうだけど爺ちゃんは最後まで笑顔だから、私も頑張って笑顔で別れた。