第3章 人気者
結局俺はそのまま椎名と別れ、屋上に戻る気にもなれず中庭にやってきていた。
既に授業が始まっているため、普段生徒で賑わっている中庭には誰もいない。
日当たりのいいベンチに腰かけると俺はそのままもたれかかって空を見上げた。
考えるのは先程の椎名との会話。
────本当に謝るのは私の方
────私は必要以上に人と関わるつもりはない
そう言っているのは椎名なのに、なぜかその表情が悲しそうに見えた。
「…………そういえば」
ふと初めて屋上で話した日のことを思い出す。
八尋たちが椎名と初めて喋った日「これからも四人で会おう」と八尋が言ったとき
椎名はいつもの無表情だったが、その顔がなぜか一瞬悲しそうに見えたのだ。
………………椎名は、もしかしたら他人と関わるのが嫌なのだろうか。
本当は最初から無理をして俺達に付き合っていたんじゃないか。
そんな考えが浮かんできて、慌てて考えるのをやめた。
椎名だって俺達と話すのは楽しいと言っていた。
それならそれでいい。
何もわからなくても、これから知っていけばいい。
いつかわかると言った椎名の言葉を信じよう。
そう思い、俺はゆっくりと目を閉じた。