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トワイライトメモリー 【白】

第3章 人気者


「…………ここなら誰もいないか」


滅多に人のくることがない渡り廊下に移動すると、俺は椎名の手を離した。
ここなら落ち着いて話ができる。


「…………なに?」


椎名はじっとこちらを見つめて尋ねてくる。
いつもとかわらない態度なのに、その視線になんだか居心地の悪さを感じる。


「………………悪かったな」


俺がそう呟くと、「なにが?」と聞き返してくる。


「…………絢瀬に椎名と話してみろって言ったのは俺だ。
お前、クラスでも俺達以外に話せる奴いないみたいだし…………
でも、お前からすれば余計なお世話だっただろ」


俺がそう言うと、椎名は困ったように眉を寄せた。


「……別に…………」


ふいっと顔を背けられてしまい、俺はどう答えるべきかわからなくなった。


「椎名…………俺は」

「燈斗」


何か言うべきだと口を開くと、それを椎名に遮られる。


「…………本当に謝るのは私の方」

「…………?」

「私は、燈斗たちといるのは楽しい。
八尋も、多紀もいい人…………」


椎名はそこで言葉を止めた。
悲しそうな、苦しそうなそんな表情を浮かべる。


「…………燈斗の気持ちは嬉しいし、有り難い。
だけど、わたしは必要以上に人と関わるつもりはない」

「…………それは、なんで?」

「……いつかわかる」


椎名は話はそれで終わりとばかりに背を向ける。
まだ聞きたいことはあったのだが、「授業始まるから」と言われてしまえば引き留めるわけにはいかない。


「───ごめんね」


去り際、そんな言葉が聞こえた気がした。


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