第3章 人気者
結局俺たちは昼休みまでそのまま屋上にいた。
俺にとっては授業をサボることなどもはや日常だが、こうして誰かと会話をしていると時間が経つのが早く感じる。
絢瀬と椎名が落ち着いて話せる場所といったらやはりこの屋上しか思い付かず、今日の昼休みに早速二人を引き合わせることになった。
絢瀬はいま弁当を取りに教室に戻っており、ここには俺と多紀と八尋の三人だけだ。
「なんかわくわくするね、こういうの!
二人仲良くなれるといいなぁ……ね、燈斗くん」
「……なんで俺に聞くんだ」
「だって燈斗くんが言い出しっぺだよ?」
言い出しっぺって……
確かに椎名と話してみろと絢瀬に言ったのは俺だが……
「意外だったな、燈斗くんがあんなこと言うなんて」
「…………」
意外なのは俺だって同じだ。
自分がなぜあんなことを口走ったのか本気でわからない。
椎名に友達を作ってやりたかったから?
それこそなぜだ。
椎名に友達がいようがいまいが、俺には関係のない話だ。
椎名自身誰かと深く関わるつもりがないみたいだし、それならそれでいいはずだ。
何度も理由を考えたが、どれもしっくりこない。
そんなことを考えて過ごしていると、ガチャリと屋上のドアが開いた。
「…………お待たせ」
現れたのは椎名だった。
「あ、椎名さん。今日はあんパン?」
椎名が持つ袋にチラリと目をやり、八尋が尋ねる。
椎名はこくりと頷くと、こちらに歩いてきて八尋の隣に座った。
「八尋にもあげる」
「ほんとに?ありがとー!」
こんなやり取りを見ていると、二人は本当に仲がいいと思う。
多紀も同じことを考えていたのか、二人を見つめる目はどこか優しかった。