第2章 白雪姫
動揺が顔に出ないように我慢していると、階段の方からものすごい足音が聞こえてくる。
一体なんだ。
もしや彼女がここにいることが他の生徒にバレたんじゃ……
そんなことを考えているうちに足音は近づいてきて、勢いよく屋上のドアが開いた。
「あー!!!やっぱりここにいた!!!」
「…………八尋」
そこに立っていたのは、拗ねているような驚いているようななんとも言えない表情の八尋だった。
背後には多紀の姿もある。
走ってきたのか八尋の息は切れており、はぁはぁと息をつきながらもこちらに近づいてくる。
「燈斗くん!!!」
「なんだ」
「なんで椎名さんと仲良いこと教えてくれなかったの!!!」
…………いきなり何を言うかと思えば。
「……別に仲良くない」
「嘘だー!
だってさっきも売店でなんか見つめあってたし、今だって屋上に二人でいるじゃん!!」
興奮しているのかぐいぐい顔を寄せて問い詰めてくる八尋。
ちと恐い。
「……入学式の日に会ったことがあるだけだ」
「…………入学式?」
八尋はうーんと少し考えるような素振りを見せ、
「ああ!!
屋上で変な女の子に会ったって言ってたやつ?」
「…………」
お前それここで言うなよ。
隣に本人いるんだぞ。
チラリと椎名の様子を伺うと、たいして気にした様子もなくこちらをじっと見ていた。
「…………トートの友達?」
「名前!!!下の名前で呼び合う仲なの!?
やっぱ二人仲いいじゃん!!
もしかして付き合って────」
「八尋落ち着け」
再び興奮状態に陥った八尋をなんとか宥めようとするが、ちっとも話が通じない。
困り果てて多紀に助けを求めようとするが、奴は俺たちのことなど視界に入れてもいなかった。
「君が椎名真琴ちゃん?
噂でよく聞くけど、実際に見るとほんとに可愛いね」
にっこりとイケメンスマイルを浮かべて椎名の手を握り口説いている。
ダメだこいつ。