第2章 白雪姫
「悪い」と謝ろうとして相手の顔を見て、
「……………………あ」
俺は数秒固まった。
入学式の日に、屋上で出会った少女だ。
あれから1度も会うことがなかったためすっかり記憶から抜け落ちていた。
少女は一瞬驚いたような表情をしたが、すぐにあの時と同じ無表情になりメロンパンを手に取った。
そのままレジに向かうのかと思いきや、それを俺に差し出してくる。
「…………お前が食べろ」
滅多に女子と会話をしないせいか、少し無愛想になってしまった。
だが少女は恐がる素振りも見せず、フルフルと首を振る。
「私は……食べられれば何でもいい」
そう言ってじっと俺の目を見返してくる。
初めて会った時も思ったが、俺は彼女の目が苦手だ。
こちらの心を見透かされているかのような不思議な気分になるし、こうじっと見つめられると突き放しづらかった。
気まずくなり目を反らし、礼を言ってメロンパンを受け取ろうとした、
その時
「あ………………ああああ、ああああああああ!!!??」
突然後ろからバカデカイ声が聞こえ、顔をしかめて振り返った。
そこにはこちらを見て固まっている八尋の姿。
隣に立っている多紀も目を見開いている。
おまけに八尋の声に反応した生徒が、何事かとこちらをジロジロ見ていた。