第2章 白雪姫
「今日その白雪姫の方…………椎名さんと偶然廊下ですれ違ったんだけど、噂通りすごく可愛かった。
1回でいいから話してみたいなぁ……」
その白雪姫とやらの姿を思い浮かべているのか、八尋は目を細めて口元に笑みを浮かべた。
「んなもん、普通に話しかけりゃいいだろうが。
お前人と仲良くなるの得意だろ」
八尋は人の心に入り込むのが上手い。
女子の輪の中にもスッと入っていけるし、大抵の奴とはすぐに仲良くなってしまう。
「そりゃ人見知りはしないけど、椎名さんと夜神さんは別だよ。
雲の上の存在っていうか、そんな気軽に話しかけたりできないし…………
それに、夜神さんはいつも人を避けてる感じだし、椎名さんも一人でいるのが好きなのかよく姿くらますし」
…………意外だ。
こいつにも話しかけづらい奴なんていたのか。
「八尋はチキンだな」
「タッキー酷い!!」
からかうように多紀が言うと、八尋はむぅと頬を膨らませた。
「女子なんか甘い言葉囁いとけば大抵落ちるだろ」
「タッキー発言が最低だね。モテる男は違うよ」
そんな会話をしているうちに、気づけば売店までたどり着いていた。
黒雪姫だか白雪姫だか知らないが、1日のほとんどを屋上で過ごす俺には関係のないことだ。
まだ何か言い合いをしている二人をほったらかして、俺はメロンパンに手を伸ばした。
ここのメロンパンは生徒に人気で、すぐに売り切れてしまうことが多い。
しかし今日はなぜか奇跡的に1つ残っていた。
いつもはおにぎり派なのだが、たまにはこういうのも悪くないかもしれない。
そう思いレジまで持っていこうとしたのだが、
「…………っ」
「…………あ」
メロンパンを掴もうとしたところで、俺の隣にいた少女と手が当たった。
彼女も俺と同じくメロンパンを取ろうとしたのだろう。