第2章 番外編
それからというもの智也と私は意外とよく話すようになっていた
だが、私の素直さは稀にしかでてこない
だって、だって…好きなんて言えるわけない
「お。いた…おーい。元気か?強気女」
「げっ…」
校舎の中にも秋風が入ってきて寒いくらいの季節
紅葉も、そろそろかもしれないという時期
校舎の外に微に色づく木の色を見ているのが好きだ
そんな風情ある景色に魅了されている時に限ってあいつがやってきた
ひらひらと手を振っては相変わらずチャラそうだ
私の顔は一気に青ざめた
「何だよ。その青ざめた顔つきは…」
智也に会って私の心臓は壊れそうなくらいドキドキいっている
それとは逆の反応を顔に出している私は好かれる訳もないのだけれど
何かと気にして話しかけてくれるから私もとりあえず返してみる
だけど、やっぱりどうにもならない言葉がある
「いや、まさかここで馬鹿面に会うなんて思ってもみなかったから」
「はっきり馬鹿面って言うなよ!なんだよかっこいいの間違えだろ!?」
たまにナルシスト系の発言をする彼
はっきり言ってかっこいいのだからそういうところにもときめいている自分がいる
けれど、自分で自分をかっこいいという発言に慣れていない私は多少引いてしまう
「うっわぁ…真面目に引く…」
「哀れな目で俺を見るんじゃねぇ…」
お互い白目になっている
普通の女の子なら黄色い声を上げるかもしれないところも私は冷たく言い切る
これは彼の為なのだ、きっと
「それはともかく今日は何?今、移動?」
「……さぁ。」
彼の顔がだんだん青ざめていく
何を隠しているのだろうと、じっと目を見ようとするが視線が泳いでいて合わない
不思議に思った私は、とりあえず周囲の状況に気づいた
智也以外に誰もいないことに
「さ、さぁって…よく見れば他の人たちいないじゃない」
「というか、お前だって授業中なのに何でこんなところにいんだよ?」
「私は…何でもない」
先程、貧血気味で目眩がしたもので保健室にいたのだ
その帰りに丁度、こいつと出会ってしまったというわけである
それにしてもこんな偶然があるのだろうか
「もしかしてサボりか?」
「あんたと一緒にしないで!」
「げっ…何で知ってんだよ…」
青ざめていた顔は更に青ざめて口元をひくつかせている
とりあえず、ここで会ったのも何かの縁
神様に感謝しよう