第14章 熱
「大丈夫だってば」
「でも…」
「こんなの直ぐ治るって」
そう言った隼人は「ちょっと寝る」と言って目を瞑った。
いつもは甘えてくる癖に、どうして風邪とかひいたら痩せ我慢するんだよ。
まぁ俺もそうだったけど…。
それでよく、貴文に怒られてたな。
今なら、貴文の気持ちがよく分かる。
もう既に寝息を立てている隼人の額にもう一度手を当てる。
やっぱり熱い…。
頼むからさ…。
「あんまり無理しないでくれよ」
数時間後。
もうすぐでカナダに着陸する。
結局あれからずっと隼人は眠っていた。
時々苦しそうに顔を歪めていたから、大分熱は高いと思う。
起こすのは気が引けたが、隼人の体を少し揺らした。
「おい、もう着陸するぞ。起きろ」
「んー…」
目を開けた隼人は、虚ろな瞳で俺を見る。
「うぅ……頭痛い…」
苦しそうにうめき、頭を抱える隼人。
「おい、大丈夫か…?」
「あー大丈夫大丈夫。気にすんな」
全然大丈夫じゃねぇだろ。