第13章 家族
「多分、照れ隠しですよ。隼人さんが隣に居るだけで、ドキドキするんじゃないですかね」
楽しそうに笑っている貴夜に視線を移す。
「隼人さんが思ってる以上に、貴夜兄隼人さんのこと好きだと思いますよ」
兄弟が言うんだから、そうなのかも知れない。
俺はコーヒーを飲み、フッと笑った。
「そうだといいな…」
その夜。
疲れたのか、貴夜の兄弟だちは直ぐに眠ってしまった。
俺たちの寝床は、貴夜の部屋らしい。
風呂に入った後、そこに移動した。
綺麗に整頓されている。
いつも掃除していたそうだ。
貴文くんは、「エロ本とか出てくるかと期待してるんですけどね…。純粋なままですよ貴夜兄は」と残念そうに、でも嬉しそうに言っていた。
そういう類いのモノは、こいつは持たないだろうな。
何て根拠のない確信を持ちながら貴夜を見た。
風呂上がりの貴夜の肌が火照っていて、しかも髪が濡れてて…何とも言えぬ色っぽさがある。
こいつ、誘ってるのか?
「布団もちゃっかりひいてあるな」
苦笑いを浮かべた貴夜は、自分のベッドに腰掛ける。