第13章 家族
貴夜が、兄弟たちとゲームをしている後ろで、俺は椅子に座ってそれを眺めていた。
「はい、隼人さん」
貴文くんからコーヒーの入ったカップを渡される。
「ありがとう」
貴文くんは俺の隣に椅子を持ってきて座った。
「貴文くんは、一緒に遊ばないのか?」
「ここで見てる方が面白いので」
貴夜と同じ顔で笑う彼に、いつもドキッとしてしまう。
似てるよな…。
まぁでも、貴夜の方が可愛い。
「カナダでは、どうなんですか?貴夜兄の様子」
貴文くんはコーヒーを一口飲み、俺を見る。
「日本にいる頃よりはよくなったけど、まだまだガード固い。それに危機感ないし」
「それは大変ですね…。貴夜兄、もうちょっと素直になってもいいのに」
「だよな。それに俺の前では全然笑わないんだよ。他の人がいたら別だけど…。俺にも笑いかけてほしい…」
項垂れる俺の横で、貴文くんは「あはは」と笑い声をあげた。