第12章 報告
それからバスで移動して、家の近くまで行った。
もうすっかり日は暮れていて、辺りは真っ暗だ。
街灯は所々に存在するが、特別明るいって訳でもない。
でもその分、空の星がよく見える。
空を見上げていると、するりと手に隼人の指が絡まった。
「何すんだよ!」
振り払うが、なかなか離れない。
「おい!」
「いーじゃん別に。ここ暗いし、人通りも少ないし」
そりゃそうだけど…。
だからって手を繋ぐことはないだろ。
「ほら、早く握り返して」
誰が返すか!
俺はそっぽを向いた。
「つれねぇなー」
「俺はこんな奴って知ってるだろ」
そんなこんなのやり取りをしてるうちに、家の前に着いた。
懐かしいな、昔と全然変わってない。
チャイムを押し、出てくるのを待つ。
「はーい、今行きまーす」
家の中から声が聞こえた。
これは多分貴文かな。
がちゃりとドアが開き、貴文が顔を出した。
「よ、久し振り」
そう言うと、貴文は呆けた顔をして俺を見つめた。
固まってる…のか?
「貴夜兄!?と隼人さん!?」