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ツンデレと腹黒のそれから

第12章 報告


「ん!?」


い、いきなり何だ!?

隼人を押し返そうとするが、体が密着していてうまく押し返せない。

数秒して唇が離された。


「お前、何してんだよ…!」


隼人を睨み上げる。


「だって…」


お墓の方に視線を向けた隼人は、ふっと笑った。


「まだ俺たちのこと、報告してないだろ?」


顔が、赤くなっていくのが分かる。

こいつは、バカなのか?

いや、正真正銘のバカだな。


「あれ、貴夜顔真っ赤だぞ」

「煩い、夕日のせいだ。もう行くぞ」


力が緩んでいた腕からすり抜け歩き出す。

その隣に隼人が並んだ。


「ちゃんと届いたかな、報告」

「届いただろ。多分父さんも母さんも腰抜かしてるよ」


これを、2人が生きていて直接報告してたら、反対されてたかも。

いや、大丈夫か。

だって2人とも、優しい人だから。

そう思った時、びゅうっと風が吹いた。


「!」


立ち止まり、後ろを振り向く。


「どうした?」

「今…」


言葉を出しかけ、それを呑み込んだ。


「いや、何でもない」


前を向き、少し先に居る隼人の隣に並ぶ。


『お幸せに』


さっきの風が、そう言った様な気がした。

うん、ありがとう、父さん母さん。


「何だよニヤニヤして、気持ち悪い」

「悪かったな」


幸せに、なるよ…。
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