第10章 帰省
「あの、雪さん…」
「はい?」
「雪さんは、俺たちの関係を…知ってるんですか?」
おそるおそる問う。
雪さんは一瞬キョトンとした顔をしたが、フッと微笑んだ。
「えぇ、存じております」
また隼人を睨み上げると、今度は楽しそうに笑っていた。
こいつ…!
「私はそういった偏見は致しませんので、ご安心を」
そういう問題じゃ、ないんだ…。
どうしよう、死にたくなってきた。
項垂れる俺の肩を隼人は「まぁいいじゃねぇか」と言い叩く。
その時、屋敷内に声が響き渡った。
「お待たせしました、お2人とも」
声のした方を向くと、階段を降りてくる人が目に入った。
もしかしてあれ…。
「杉山か!?」
驚き、声を上げる。
「何ですか、失礼ですよ貴夜先輩」
だって、高校時代より明らかに外見が違う。
高校時代の杉山は、眼鏡をかけていてしかも小柄だった。
だが今は、眼鏡もしてないし身長伸びてるし、少し鬱陶しそうだった髪の毛も綺麗に整えられている。
杉山が俺たちの前に立つ。
「お久し振りです」