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ツンデレと腹黒のそれから

第10章 帰省


インターホンを押した数秒後。


『はい、どちら様ですか?』


女の人の声が聞こえた。


「晴の友人の野木隼人と三好貴夜です」


そう言うと、ガチャリと玄関の鍵が開いた音がして、大きなドアが開き始める。

す、凄い…。


「行くぞ、貴夜」


いつの間にか隼人は家の中に入っていて、俺は慌ててその後を追い掛けた。


「いらっしゃいませ。お久し振りです、隼人様」

「お久し振りです、雪さん。相変わらずお綺麗ですね」

「そんなことはございません。…そちらの方が、三好貴夜様ですね?」

「はい。貴夜、この方は雪さんで、この屋敷のお手伝いさん」


そう紹介され、お辞儀をする。

確かに、綺麗な人だ…。


「お噂はかねがね、晴様や隼人様から聞いております。聞いていた通り、綺麗な方ですね」


今まで無表情だったが、突然笑顔を浮かべたため、不覚にもドキッとしてしまった。


「き、綺麗って…俺は男ですし全然。雪さんの方がお綺麗ですよ」

「男性でも、綺麗な方はいらっしゃいますよ」


笑うと、可愛いんだな。

そう思っていると、突然隼人に頭を小突かれた。


「な、何すんだよ!」

「何でも?」


は!?

何だよお前!

隼人を睨み上げると、雪さんがクスクスと笑い出した。


「貴夜様、隼人様は嫉妬なさってるんですよ」

「嫉妬?」

「ちょっと雪さん!」


隼人に視線を戻すと、照れた様に頬をかいていた。


「あんま他の人にデレデレすんな」


デレデレはしてないけど…。

こいつ、面倒くさいな。

でもまぁ、いっか。

ん?

あれ、何か可笑しくないか?

雪さん、何で俺たちのこと知って…?
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