第10章 帰省
「おぉ、久し振りだな、晴」
楽しそうに話を始めた隼人と杉山。
俺はそんな杉山の姿を呆然と見つめていた。
何か、顔立ちも大人っぽくなってるし、身長も俺と同じくらいか俺よりでかい。
もしかして、顔整形したとか…?
いや、杉山に限ってそれはないよな。
でも人間ってこんなに変わるもんなのか?
「貴夜先輩、どうしたんですか?」
杉山が俺の顔を覗き込む。
「いや、何も…」
「あれ、先輩身長縮みました?」
「縮んでない!あの頃から3センチは伸びた!」
「でも僕より小さいですよ?僕今179あるんです」
「何…だと!?」
2センチ負けた…。
ショックを受けている俺を他所に、杉山は「あ、そーだ」と呟き雪さんに近付く。
そして彼女の肩を抱いた。
「一応報告しておきます。僕と雪、付き合ってるんです」
「えぇ!?」
これには、流石の隼人も驚いている。
少し頬を赤らめている雪さんを見ると本当にそうなのだということが分かった。
後々話を聞くと、雪さんはまだ21歳で(これは隼人も知らなかった)、親も親戚もおらず、行く宛もない幼い彼女を杉山の父親がお手伝いさんとして雇い、年も近かった杉山の世話係に任命。
色々あって心が通じ合い、2年前から付き合い始めたとかなんとか。
そんな運命もあるんだなと感心しながら、話を聞いていた。
それから杉山にお土産を渡し、豪邸をあとにした。
ちょっと、楽しい時間が過ごせた…と思う。
応援しなきゃな、杉山と雪さんのこと。