第10章 帰省
「な、何だよ」
「いや、何か必死だなって…。分かったよ、なるべく控える様にする」
本当に分かったのか…?
先に歩き出した隼人の背を追いかける。
何だか嬉しそうな隼人の横顔に、俺は首をかしげるしかなかった。
暫く歩くと、懐かしい風景の場所に辿り着いた。
ここら辺は、何も変わってないんだな…。
「あ、黒西だ」
隼人が指さした方向に、学校の屋根が見えた。
「懐かしいな…」
俺とこいつが出会った場所。
最初は嫌だったけど、何だかんだ楽しかったし、あの学校に言って本当に良かったと今は思ってる。
学生時代は、色々あったな。
今じゃ、全部いい思い出だ。
「貴夜、晴の家着いたぞ」
ひとつの、大豪邸の前で立ち止まる。
あいつ…お坊っちゃんってことは知ってたけどここまでとは…。
「晴に会うの久し振りだな」
「あぁ、高校卒業以来か?」
「まぁ、それくらいかな」
杉山とも、色々あった。
結局、あいつに後押しされたのもあって告白出来たんだし、感謝もしている。
あの時の告白の言葉を思い出し、少し恥ずかしくなった。
「じゃ、チャイム押すぞ」
「あ、あぁ…」
俺は、杉山にからかわれないよう、気を引き締めた。