第10章 帰省
突然部長に、
「君たち明日から1週間休みね」
と言われた。
詳しい話を聞くと、社長であるクラウスさんが一度日本に帰る様にと働きかけてくれたらしい。
別にそんな気を遣わなくてもいいのに。
だがここはクラウスさんの行為に甘える事にして、一度日本に帰る事になった。
そして、翌々日。
俺たちは日本に帰ってきた。
丁度夏で、とても暑い。
「日本、久し振りだなぁ」
隼人が空を見上げ言った。
皆、元気かな。
あ、そういえば、家に連絡入れるの忘れてた。
まぁいいか。
「とりあえず時間もないし、行くところ行こう」
隼人に手を引かれ、歩き出した。
「ちょっと、一回待て!」
手を振り払い立ち止まる。
「どうしたんだよ」
隼人がキョトンとした顔で俺を見た。
どうしたんだよって…。
暫く何でもオッケーなカナダに居て感覚が麻痺してたが…。
「ここは日本だぞ。カナダじゃない。少しでもそれっぽいのを悟られたらどうする!」
それだけはどうしても嫌だ。
他の人にばれるとか、考えただけでゾッとする。
いくらオープンなカナダの人たちにもばれたくない。
必死な俺を見て、隼人は噴き出した。