第9章 本当の繋がり
彼の後に続き、急いで隼人のもとへ向かう。
隼人の席の周りに若干の人だかりが出来ているのが見えた。
俺を見つけた周りにいた人たちはスッと道を開ける。
その先に見えた隼人は、机に突っ伏していた。
同じ係の人の話しによると、隼人は俺がオーストラリアに行ってからこんな感じらしい。
仕事はこなしているがミスも多く、ぼーっとしている。
こいつのこんな姿、初めてだ…。
「申し訳ないけど、今日はハヤト連れて帰ってくれないかな。彼にも休養が必要だ」
俺を連れてきた人はそう耳打ちして、隼人を起こす様促す。
俺は少し躊躇いながらも、隼人に近付いた。
「隼人」
そう名前を言うと、隼人はガバッと体を起こし、俺を驚いた様に見つめる。
「帰るぞ」
背中を向けて歩き出した俺の後を、急いで準備して追ってくる気配がした。
それが少し可愛いと思ったのは、内緒だ。