第8章 大喧嘩
「お前、いつもそうだよな。何かしら理由つけて俺との距離を一定に保ってる」
「別にそんなつもりは…」
「お前自身そう思ってなくても、無意識にそう思ってるんだよ。いつも待たされる俺の身にもなれ」
呆れた様に言う隼人。
それを見て、プツンと何かが切れる音がした。
「じゃあ聞くけど…」
「…?」
「お前は俺のこと考えたことあんのか?」
「どういうことだ」と言いたげな顔の隼人を下から睨み付ける。
「昔からそうだ。俺の有無も聞かずにズカズカと家に上がり込んだり、所構わず襲ったり…。お前はいっつも自分勝手だった。うんざりしてたんだよ…!」
隼人の腕を振り払い、胸ぐらを掴む。
「お前はどうせ、俺の事なんかお構い無しで、自分さえ満足出来ればそれでいいんだろ?俺の事なんかどうせ考えてねぇんだろ!?」
最初は唖然としていた隼人だったが、はっと我に返り胸ぐらを掴む俺の手を引き剥がす。
そして、俺の肩を後ろの壁に押し付けた。
「いっ…てぇ……」
「さっきから聞いてれば言いたい放題言いやがって…。俺がどれだけお前に尽くして来たと思ってんだ!」
「別に頼んでねぇよ!」
隼人を力一杯押し返す。
「何か予定がある度に報告させられて、学生の時も、バイトのスケジュールまで管理されて…。俺は、隼人を満足させる為の人形じゃない!」