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ツンデレと腹黒のそれから

第8章 大喧嘩


図星をつかれ、俺は「あはは」と笑った。


「笑い事じゃないよ。このこと、今更彼に何て言うんだい?」


エレベーターの止まる音がして、目の前のドアが開く。


「何とかなります…多分」


エレベーターから出て、心配そうな表情のクラウスさんに笑って見せた。





その夜。

先に帰ってきた俺は夕食の準備をしていた。

怒られるかも知れないけど、ちゃんと言おう。

暫くしてご飯も出来上がり、テーブルに並べている途中、隼人がリビングへと入って来た。


「お帰り、もうご飯出来てるから、直ぐに……」

「貴夜」


俺の言葉を遮る形で隼人が言う。

嫌な予感が、心の中に渦巻く。

そして、隼人が言葉を発した。


「お前、オーストラリアに出張するって本当か?」

「………」


やっぱり、嫌な予感は的中していた。

何も言わない俺に隼人は痺れを切らし、ゆっくり迫る。


「どうなんだよ」

「……えっと…」


後ずさる俺を逃がさない様に、腕を掴み上げた。


「どうなんだよ!」

「……行くよ、1ヶ月間」


一瞬、腕を掴む力が弱まったが、さっきより強く握られる。


「何で黙ってた」

「痛い、離して…」

「答えろ!」


今までに感じた事のなかった、隼人に対する恐怖。

多分、今までで一番怒ってる。


「だ、だって…」


自然と、声が震えた。

何だか泣きそう。


「会えなかったし、こう言うの直接言わなきゃお前怒ると思ってて…。先延ばしにしてたら言うタイミング逃してしまって…」


言い訳っぽく聞こえるかも知れないが全部本当である。

それを聞いた隼人は、手の力を緩めた。
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