第8章 大喧嘩
「気のせいですよ」
もう一度お礼を言い、自分の足で立つ。
「気のせいじゃない。何かあったのか?僕で良かったら相談に乗るし…」
「本当に、大丈夫です。飯抜き期間が少し長かっただけですから…」
「飯抜き!?」
クラウスさんは驚いた声を発した後、ため息をついた。
「あの、オーストラリア支部との企画のせいでか」
「知ってたんですか?」
見上げると、彼はもう一度ため息をつき、俺の頬に触れる。
「リサから聞いた。無理をさせてしまったと嘆いていたよ」
係長とクラウスさん、面識あったんだ。
そんな事よりも、係長に心配をかけてしまった。
多分、同じ係りの人にも心配をかけたな。
自分の行動を反省した。
「野木くんにも、しっかりしてほしいものだよ」
その言葉に、クラウスさんから目を逸らす。
そんな俺を見て、クラウスさんは少し目を見開いた。
「まさか…出張のこと、言ってないのか?」