第8章 大喧嘩
俺は疲れと共に焦りも感じていた。
残業続きで疲れているがオーストラリアへ飛ぶまでには余裕で仕事を終わらせられる。
が、問題は隼人だ。
実はまだ、オーストラリアに出張することは話していない。
お互い全く会えてないと言うのもある。
携帯で連絡すればいいじゃないかと思うが、仕事は忙しいし、ふらふらっと帰ったら直ぐに寝てしまう。
それに、あいつは、こう言う大事な事は直接言わないと怒る。
そんなこんなで、出発2日前まで言えてないのだ。
仕事の方は、昼頃には終わりそうだから今日と明日はゆっくり出来そう。
今日にでも、言うか…。
最近昼飯も夜飯も抜きだったから、久し振りに食べれそうだな。
一度伸びをし、気合いを入れて仕事に取り掛かった。
昼。
「お、終わった…」
計画通りに終わり、直ぐに食堂に向かう。
久し振りのお昼ご飯。
食堂美味しいから何だか楽しみだ。
エレベーターの前に着き、ボタンを押し来るのを待つ。
「貴夜、嬉しそうだね」
聞き慣れた声がして振り向くと、クラウスさんがそこに立っていた。
「そう…ですかね」
頬をかいて、笑って見せた。
目の前のドアが開き、2人で乗り込む。
「あっ」
その時、俺は段差につまずいて転びそうになった。
「危ない!」
危機一髪でクラウスさんに受け止められ、転ぶのは何とか阻止出来た。
「危なかった…」
「すいません、何だかふらふらして…」
「大丈夫かい?……ん?貴夜、痩せたな」
体を支えた時にでも異変を感じたのだろう。
俺は笑って誤魔化した。