第7章 出張
再来週にカナダを出発し、オーストラリアに行く。
それまでにやらなければいけない事があるため、明日からほぼ毎日残業になりそうだ。
今日は早目に仕事終わらせて帰ろう。
そう思い、仕事のペースを早めた。
数時間後。
仕事を終わらせた俺はスーパーに寄って買い物をし、アパートに帰って来た。
エプロンをして、食事の準備に取り掛かろうとした時、俺の携帯が鳴った。
液晶画面には『野木隼人』と映し出されている。
通話ボタンを押し、携帯を耳に当てた。
「もしもし」
『貴夜、今何してる?』
「ご飯作ろうとしてるとこだけど」
『なら、丁度良かった。今日、飲みに行くことになってさ、ご飯もいらないし、帰って来るのも遅くなると思う』
「そっか…分かった」
『寂しい?』
「そんなわけねぇだろ、バカか」
そんなやり取りをして電話を切る。
出張のことは、また今度でいいか。
そう思って、ひとり分のご飯を作り始めた。