第7章 出張
俺は係長に呼び出され、別室で2人で話をしていた。
「これを見てくれ」
手渡された企画書の様な紙に目を通す。
「オーストラリア支部との、コラボ企画?」
「あぁ、いちだいプロジェクトだ」
「これが、何か?」
係長は真剣な眼差しで俺を見つめ、言葉を発した。
「このプロジェクトの担当を、貴夜、お前に任せたい」
「…え?」
一瞬、頭が真っ白になった。
「えぇ!?俺がですか!?」
驚きの声を発すると、係長は困った様に笑った。
「お前にしかやれないことだと思う。部長も、申し分ない人材だと言っていた。これはほぼ、部署からのお願いと言っても過言じゃない。頼む、やってくれないか?」
そんな、俺にこんな大事な企画…。
でも、断れる立場でもないし…。
やってみるだけ、やってみるか。
「分かりました、やります」
そう言うと、係長は嬉しそうに笑って俺の手を握った。
「ありがとう、貴夜!」
そして早速、企画の話に移った。
大体の内容の説明が終わり、何だか出来そうな気がしてきた。
頑張らなくては。
「あぁあと、この企画をするにあたって、必ずしなければいけないのが担当者の1ヵ月のオーストラリアへの出張だ」
出張…。
初めてだ。
「最初の1ヵ月はうちがオーストラリアに行って、次の1ヵ月はオーストラリアの担当者がこっちに来る。行ってくれるか?」
俺は大きく頷いた。