第6章 ありがとう
「ん…?」
目を覚ますと、目の前に気持ち良さそうに寝息を立てている隼人の姿があった。
いつも思うけど、綺麗な顔立ちしてるよな。
隼人の頬に触れそうになっていた手を慌てて引っ込める。
何か、変態みたいだ…。
恥ずかしくなって、隼人を起こさない様にベッドから抜け出す。
昨日持ってきてくれた着替えを持って脱衣所へと向かう。
脱衣所の鏡の前に立った。
結構、痕付いてるな。
どれがクラウスさんに付けられたものかも分からない。
それが、狙いなのかも知れないけど。
鎖骨に付いた複数の痕を撫で、ため息をついた。
風呂から上がっても、隼人はまだ眠っていた。
ベッドに腰掛け、隼人を見つめる。
見つめているだけで、心臓が高鳴った。
ぱっと目を逸らし、深呼吸をして落ち着かせる。
俺、何か変だ。
昔よりもずっと、見ているだけでドキドキしてしまう。
顔が火照って仕方ない。
チラリと、隼人に視線を戻す。
あぁ、やっぱり、ドキドキする…。
そう思った俺は、いつの間にか隼人の唇を、塞いでたいた。