第6章 ありがとう
風呂から出て、体を拭きベッドへと連れて行かれる。
そのままベッドに押し倒され、見つめ合った。
「やっぱりこの眺め最高だ」
額に軽くキスをされる。
「隼人、変態くさい」
「あぁ、俺は変態だから…」
優しく笑う隼人に、何故か泣きそうになった。
手を伸ばし、隼人の頬に触れる。
「貴夜?」
「隼人、本当に…今までごめん」
首をかしげる隼人。
俺は、涙を堪えながら言葉を続けた。
「俺さ、学生の時襲われてばっかりで、でも全然問題にしてなくて何も考えてなかった。それが、危機感ないって言うことだったんだよな」
目を閉じ、あの頃の自分を思い出す。
素直になれなくて、隼人をたくさん傷付けたであろう学生時代。
それなのに、隼人はずっと、好きで居てくれた。
それが、嬉しくて堪らなかった。
「本当に、ごめんな、隼人。でも…ありがとう。いつも守ってくれて、ありがとう。俺が襲われた時、いつも駆け付けてくれてありがとう。俺のこと、ずっと好きで居てくれて、ありがとう…」
それが今の、俺に言える精一杯のことだった。
それでも、想いは伝わったのか、隼人は優しく口付ける。
次第に深くなっていくそれに、俺は身を委ねた。