第6章 ありがとう
「ごめん、貴夜。俺のせいで…」
「お前のせいじゃない!」
驚いた瞳で俺を見る隼人。
「俺が、悪いんだ。俺がもっとしっかりしてたらこんな事にはならなかった。お前は傷付かなかった。全部、俺が…俺が…」
泣き出した俺を、隼人は優しく抱き締めてくれた。
涙を拭ってくれた。
キスを、してくれた…。
そのまま押し倒されるが、そこであることにはっと気付く。
「か、会社は大丈夫なのか?」
「会社?あぁ、休むって連絡入れておいた」
俺のシャツのボタンを外しながら淡々と呟いた。
「ちょ、待って…」
「何?」
「あの、俺、体気持ち悪いからその…風呂に入りたい」
「後からでいいだろ」
「そうじゃないんだ…。全部洗い流したいんだ、この気持ち悪さも、クラウスさんの感触も」
俺がそう言うと、隼人は驚いた様に目を見開き、そしてふっと笑った。
「分かった…。じゃあ俺と一緒に入ろうか」
「え…」
「俺が洗い流してやるよ」