第4章 仲良く…
後ろから、隼人が俺の名前を呼ぶ声が聞こえたが、構わず走った。
追い掛けてくる気配はなく、少し走ってから立ち止まり携帯を取り出す。
息を整えながら着信履歴を開き、クラウスさんに電話をかける。
『もしもし、貴夜?』
直ぐに彼の声が聞こえた。
「こんばんは。さっきはすいません、出られなくて…」
『いやいや、大した用じゃなかったからいいんだ。わざわざかけなおしてくれてありがとう』
声からも、優しさが伝わってくる。
俺はうっかり泣きそうになって、涙をぐっと堪えた。
『何か、あったのかい?』
俺はクラウスさんに、甘えすぎなのかも知れない。
だけど、今は凄く、彼に優しくしてもらいたかった。
「……クラウスさん、まだ会社にいらっしゃいますか?」
『あぁ、今日は残業だからね』
「今から、そちらに行ってもよろしいですか?」
『え?』
クラウスさんの戸惑った声が聞こえた。
俺は黙って、彼の言葉を待つ。
『…分かった、待ってるよ』