第4章 仲良く…
社長室の前に着き、ドアをノックする。
するとドアが開き、そこにはクラウスさんが立っていた。
「待ってたよ。さぁ入って」
「失礼します」
クラウスさんは俺をソファーまで促し座らせる。
「すいません、急に来てしまって」
「いいんだよ」
机の下を探りながら言うクラウスさん。
何をしてるんだろう。
そして彼が取り出したのは、日本酒だった。
「今日の朝、会社に僕宛に届いてね。ひとりで飲むのも寂しいから一緒に飲まないかい?」
数十分後。
「貴夜、大丈夫か?」
「だーいじょうぶれすよー」
俺は完全に酔っていた。
あれから、愚痴を聞いて貰ってるうちに酒がどんどん進んで、この有り様だ。
「んもー、あいつなんか知るかって感じですよ」
コップに入った酒を一気に飲み干す。
クラウスさんは黙って、コップに酒を注いだ。
「でも俺も、悪いところあったんですよ。なのに俺が一方的に怒って………」
隼人の顔が浮かぶ。
あの言葉も、俺の事を想ってのことだったかも知れない。
「あぁー…これで別れることになったら、俺どうすれば……」
涙が溢れた。
コップをテーブルに置き、涙を拭う。
「すいません、こんな………ぅわ!?」
視界が傾き、ソファーの柔らかい感触が背中に伝わってきた。
目を開けると、クラウスさんの顔が映った。