第4章 仲良く…
その日の夜。
俺と隼人が食事をしている最中のことだった。
俺の携帯が鳴り、モニターに「五十嵐クラウス」と言う文字が写しだされる。
「誰から?」
「社長…クラウスさんから」
電話に出ようとしたとき、隼人に携帯を取り上げられた。
「お、おい、何すんだよ」
隼人の手から携帯を奪い返そうとするが、掴みそうなところでコールが止んだ。
「お前、どういうつもりだよ!」
携帯を引ったくり、かけなおそうとする。
だが腕を掴まれ、突然唇を塞がれた。
「んっ!?」
隼人を押し返し、腕を振り払う。
「いきなり、何だよ…!」
動揺する俺に真剣な眼差しを向け、隼人は呟いた。
「もう、社長には近付くな」
「………は?」
呆けた声を出した俺。
隼人はそれに構わず続けた。
「あの人は危険だ。何をしでかすかも分からない。だから…」
「何だよそれ、意味が分からない」
何で、仲良くなる人まで決められなくてはならないんだ。
怒りが込み上げてくる。
「今言った通りだ。あの人にはもう一切近付くな」
そう言われて、いつの間にか俺は、家を飛び出していた。