第4章 仲良く…
資料室内。
俺は、高い所に資料ファイルを入れようとしているところで、苦戦していた。
「んー…届かないぃ」
思いっきり背伸びをするが、あと少しのところなのにファイルが入ってくれない。
脚立、使うか…。
そう思った時、ファイルが俺の手から離れ、棚へと入った。
「あ、クラウスさん…。すいません」
「いいよ。僕の事、どんどん頼っていいからね」
優しいな、クラウスさんは…。
俺が振り向こうとした時。
「これは……どうした?」
首筋に触れられ、体がビクッと反応した。
そこは丁度、隼人に痕を付けられたかしょだった。
「い、いえ…何でもないです」
手でそこを隠し、羞恥に耐える。
その場を離れようとしたとき、クラウスさんに両手を掴まれ、後ろの棚に押し付けられた。
「ク、クラウスさん…?」
俺の手首を掴むクラウスさんの手の力が強まる。
「いった……クラウスさん、どうしたんですか?」
問うが、クラウスさんは答えてくれない。
何かを我慢している様に見える。
数秒して、クラウスさんがふうっと息をつき、俺の手首を掴む力がゆるまった。
そして手を離し、いつもの笑顔を見せた。
「すまない、気にしないでくれ」
クラウスさんはそう言って、資料を片付け始めた。