第4章 仲良く…
「すいません、ご馳走になってしまって…」
クラウスさんの隣を歩き言う。
本当は俺が払うつもりだったのに…。
「これはお礼だからね。君には払わせないよ」
悪戯っぽく笑うクラウスさん。
こんな表情もするんだと、少し感心した。
その時、俺の携帯が鳴った。
「す、すいません…」
「いいよ、僕の事は気にしないで」
俺は少し申し訳ないと思いながら、携帯の通話ボタンを押し耳に当てる。
「もしもし」
『……今何処だよ』
隼人の低い声が聞こえた。
怒ってる…。
「ちょっと用事で、外に居る」
『聞いてねぇよそんなの』
そりゃ、言うもんか。
男と2人きりで食事に行くって言ったら絶対行くなって言うし。
面倒くさいんだよ…。
「別にいいだろ、俺の勝手だ」
『そうだけど心配する。いいから今すぐ帰って来い』
隼人はそう言い残し通話を切った。
あの自己中野郎。
…帰らなきゃ、怒るよな。
その方が面倒くさいか。
「クラウスさんすいません、俺帰ります」
「恋人からかい?」
「い、いえ、そんなのでは…」
頬を赤くする俺を見てクラウスさんは楽しそうに笑った。
「冗談だよ。じゃあ今日はここで解散しようか」
「本当にご馳走様でした」
「いやいや。また食事に行こう」
「はい!では、お先に失礼します」
そう言って、俺は駆け出した。
だが俺は、俺の背中を見送るクラウスさんが怪しく笑っていたことに、気付くよしもなかった。