第19章 愛してる…。
病院に着き、受付で隼人の病室を聞いて直ぐに病室へ向かった。
病室の前まで着き、ドアノブに手をかけ開いた。
最初に目に飛び込んで来たのは、こちらを向いて驚いた表情をしているクラウスさんと隼人の係の係長。
「やぁ、来たね」
クラウスさんはにこっと笑い、係長を病室から出るように促す。
クラウスさんが俺の横を通り過ぎるとき、「ちゃんと仲直りすること」と耳打ちしてくれた。
閉まったドアを見た後、後ろを振り向く。
そこには、ベッドで上半身だけを起こして驚いた表情の隼人がいた。
「貴夜、何で…」
何でって、そりゃ心配したから…。
「刺されたとこは、大丈夫なのか」
「え、あぁ、大丈夫。そんなに深く刺さってなかったし、たいしたことない」
隼人に近付き、そして優しく抱きしめた。
「え?え?」
困惑してる。
そりゃそうだよな、今まで怒ってた奴が急にこんなことして。
「よかった、無事で。本当によかった」
緊張が解けて安心して、涙が出てきた。
「た、貴夜…」
「…それから、ごめん。俺、誤解してた。疑ってごめん…」
少しだけ、抱きしめる力を強める。
「それは、もういいんだ。お前がここに来てくれただけで、十分」
本当に、優しいなこいつは。
どうしてこんな奴を疑ってしまったんだろう。
「もう、泣くなよ。大袈裟だな」
笑った隼人が、俺の背中に腕をまわす。