第16章 ハロウィーンパーティー
「貴夜」
「クラウスさん」
手を振って近付いてくる彼にペコリとお辞儀をする。
「沢山お菓子があるね。僕にもひとつわけてくれないかい?」
「はい。これでいいですか?」
「うん、ありがとう」
スナック菓子を手渡し、俺はふうっと息を吐いた。
「お疲れの様だね」
「あ、いえ……」
「無理は禁物だよ」
クラウスさんに、頭を撫でられる。
何だか久し振りの感覚で、少し違和感を感じた。
いつも思うけど、クラウスさんにとって俺って子どもなのかな。
だけど、クラウスさんの手の温もりは好きだ。
大きくて逞しい、優しい手付き。
やっぱりあいつに似ている。
「あっ…」
クラウスさんの声に我に返り、彼を見上げた。
横を見て、苦笑いを浮かべている。
俺もそちらに視線を向けた。
「あっ……」
そこには隼人が立っていて、こちらに笑顔を向けていた。
目が笑ってない、笑顔を。
クラウスさんはパッと手を俺から離し「あはは」と笑った。
「じゃあ貴夜、お菓子ありがとう。僕は行くよ」
「ちょ、クラウスさん!」
追いかけようとした時、いつの間にか近くに来ていた隼人に腕を掴まれる。
「ちょっとこっち来いよ」