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ツンデレと腹黒のそれから

第2章 仕事場にて


数秒の沈黙。

反応がなくて、正直引かれたかと思って顔を上げた。


「!?」


だが俺の目に映ったのは、顔を真っ赤にした隼人だった。


「お、お前、真っ赤…」


隼人は、その顔を隠す様に俺に背中を向ける。


「今絶対俺を見るな!」


そう言って、隼人は必死に自分を落ち着かせている様だった。

初めて、見た気が…。

いや、気のせいじゃない。

俺は今初めて、照れて赤面した隼人を見た。

何だ、こいつも可愛いところあるじゃないか。


「ふっ……あはは!」

「わ、笑うなよ…」


未だに背中を向けている隼人が言った。

俺は笑いを堪えながら、目元に溜まった涙を拭う。


「こっち向けよ、隼人」

「……?」


顔だけこちらに向けた隼人。

俺は隼人の頬に触れ、そして軽く口付けた。


「っ……!?」


困惑した表情で俺を見る。

正直、今の行為はかなり恥ずかしかった。

だけど、俺は、精一杯の笑顔を浮かべたのだった。

それが、隼人の理性を崩壊させたらしく、またキッチンの台に追い込まれ口付けられる。

深く、でも確かに、優しく…。




「やっ……あ、ぁ…!」


後ろからゆっくりと、入ってくるのが分かる。

今は隼人に背中を向けているため、一体どんな状況なのかは分からない。

腰を支えられ、キッチン台に手をついてやっと立っていられる。


「貴夜大丈夫、辛くない?」


隼人の優しい声が聞こえた。


「ん…大丈夫…。ねぇ隼人」

「何?」

「お前、今どんな気持ち…?」
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